扁桃腺摘出について

どんなときに扁桃腺を手術するか?

俗に扁桃腺といわれるものは、正式には口蓋扁桃と呼ばれ、のどの両側にある体のリンパ組織の一部です。
リンパ組織は体をウイルスや細菌などの外敵から守る免疫反応を起こす重要な働きを担っていて、外敵と反応して炎症を起こします。
この炎症反応が口蓋扁桃で強く起きるのが扁桃炎です。
のどには口蓋扁桃の他にも沢山のリンパ組織が分布しています。
したがって、手術で口蓋扁桃を取ってしまっても、他のリンパ組織が代わりを務めるので、一般的には体に悪い影響はありません。
手術をすれば、ひどくのどが痛くなったり高熱が出る扁桃炎を繰り返すことはなくなります。
しかし、手術をしても風邪を引かなくなるわけではありませんし、風邪を引けばのどの他の部分のリンパ組織には炎症が起こるので、のどは痛くなるのは避けられません。

一般に、一年間に4、5回以上ひどい扁桃炎を繰り返すようだと、口蓋扁桃を取る手術の適応と言えます。
特に、扁桃炎の度に高熱を繰り返すようなら手術をされた方がよいでしょう。
また、口蓋扁桃が大きすぎるとのどが狭くなり、いびきや睡眠時無呼吸の原因となることがあります。このようなときにも口蓋扁桃の摘出術が勧められます。

口蓋扁桃の摘出手術は小児期に行われることが多いのですが、必要があれば大人でも行います。
手術の危険性は大人だからといって特に増すことはありません。
また、術後の痛みに関しては、確かに子供よりは大人の方が強いかもしれません。
しかし、痛み止めを使うことでかなり緩和できます。

院長 羽柴 基之(耳鼻咽喉科担当)